慢性上咽頭炎のセルフチェックと症状を緩和する3つの方法
慢性上咽頭炎をご存じですか?
あまり聞き慣れない慢性上咽頭炎は、多様な症状を引き起こすため、思わぬ不調の原因であった、ということも少なくありません。
例えば、肩こりや頭痛、全身が痛いなど原因が分からない、治らない体の不調を抱えている方は、もしかすると慢性上咽頭炎を患っているかもしれません。
本記事では、慢性上咽頭炎について、慢性上咽頭炎のセルフチェックリスト、慢性上咽頭炎を緩和する3つの方法をご紹介します。
体に不具合を感じている方はぜひ、参考にしてみてください。
慢性上咽頭炎について
口蓋垂(のどちんこ)の裏にある上咽頭が炎症を起こす上咽頭炎。
上咽頭は、鼻の奥の呼気の通路であり、空気を取り込む際にウイルスが体内に侵入を阻止する役割を果たす、大切なエリアです。
上咽頭が炎症を起こすと、細菌やウイルスからの十分な防御ができなくなり、2次感染を引き起こす可能性があります。
まずは、慢性上咽頭炎についてご紹介します。
慢性上咽頭炎とは?
喉は上咽頭・中咽頭・下咽頭の3つに分けられ、上咽頭は鼻と喉の間を指します。この上咽頭に何らかの原因で炎症が起きる病気が上咽頭炎です。
上咽頭炎は、急性上咽頭炎と慢性上咽頭炎の2つに分けられ、急性上咽頭炎はいわゆる風邪が原因で発症し、急性上咽頭炎がなかなか治らず慢性化したものを慢性上咽頭炎と言います。
慢性上咽頭炎は、医学的に全容が解明されていない病気ですが、上咽頭周辺には全身をめぐる血管やリンパが多いため、炎症を起こすと全身に影響があると考えられています。
その為、原因不明の不調を抱えている方は慢性上咽頭炎を疑ってみてもよいかもしれません。
慢性上咽頭炎を引き起こす原因
慢性上咽頭炎により、全身に不調をきたすメカニズムや、その他部位にどのような悪影響を及ぼすのかは厳密には解明されていませんが、その根源となる慢性上咽頭炎は下記のような原因から発症するとされています。
- 細菌やウイルスの感染
- 疲労やストレス
- 空気の乾燥
- 体の冷え
- 鼻炎
- 副鼻腔炎
- 後鼻漏(鼻水が喉に流れること)
- 口呼吸
上記のような原因がきっかけで上咽頭が炎症を引き起こし、慢性化することにより慢性上咽頭炎を発症させるという見解があります。
慢性上咽頭炎のセルフチェック
慢性上咽頭炎は、自ら目視などでは確認することができませんが、症状や特徴を知ることで気が付くことができる可能性があります。
ここでは、慢性上咽頭炎の症状や特徴などを3つのチェック項目に分類してご紹介します。
チェック1. 上咽頭炎による直接症状
最初のチェック項目は、上咽頭炎が直接もたらす症状です。
- 後鼻漏(喉に鼻汁が流れる)
- 咳喘息
- 痰がからむ
- 頭痛や頭重感
- 咽頭違和感
- 耳鳴り
- 舌痛
- 歯の知覚過敏
- 多歯痛
- 顎関節痛
- 首こり
- 肩こり
直接もたらす症状は主に、喉・鼻・歯などの部位に痛みや違和感が現れます。
チェック2.自律神経系の乱れを介した症状
2つ目のチェック項目は、自律神経系の乱れと関連がある症状がないかの確認です。
- 全身倦怠感
- 睡眠障害(不眠・過眠)
- めまい
- 慢性疲労症候群
- 線維筋痛症
- 過敏性腸症候群(下痢・腹痛など)
- 機能性胃腸症(胃もたれ、胃痛など)
- むずむず脚症候群
- 起立性調節障害
- 記憶力や集中力の低下
自律神経系の乱れは、めまいや不眠などの迷走神経の作用と関係があります。
迷走神経は、自立神経の1つで副交感神経に属し、その名のとおり神経が全身に分布されているため、上咽頭炎になると全身に症状が現れることが多くあります。
チェック3.病巣炎症によって引き起こされる症状
最後のチェック項目は、病巣炎症によって引き起こされる症状の確認です。
病巣炎症とは、一部の組織で炎症が起きたときに、体の免疫システムを介して離れた組織に影響をあたえる状態を指します。
- IgA腎症
- ネフローゼ症候群
- 関節炎
- 胸肋鎖骨過形成症
- 掌蹠嚢疱症(しょうせきのうほうしょう)
- 乾癬(かんせん)
- 慢性湿疹
- アトピー性皮膚炎
上記のような症状がある方は、医療機関で診てもらうことをおすすめします。
慢性上咽頭炎の症状を緩和する3つの方法
ここからは、慢性上咽頭炎を緩和する方法をご紹介します。
基本的には耳鼻咽喉科などの医療機関で適切な治療を受ける必要がありますが、自分で症状を緩和したい、そんな方におすすめの3つの方法をご紹介します。
鼻うがいを行う
鼻の中を直接洗い流す鼻うがいは、慢性上咽頭炎の改善に効果があります。
上咽頭炎の予防には喉の粘膜の乾きが重要とされており、鼻うがいを行うことで喉と上咽頭の粘膜の乾きを防ぐことができるため、症状の悪化を防ぐことができます。
さらに鼻うがいは、慢性上咽頭炎の原因である、ウイルスによる感染症や鼻炎、副鼻腔炎などを予防する効果も高いため、定期的に行うことをおすすめします。
鼻うがいを行ったことがない方は、鼻に水を流すとツーンとした痛みを想像する方もいるかもしれませんが、専用の洗浄器具と洗浄液のもとを活用し、下記のような正しい手順で行うと痛みも感じにくく、安心・安全に鼻うがいを行うことができます。
あごを手前にひき、頭を少し前に傾ける
片鼻から「あー」と声を出しながら、洗浄液のもとを流し込む
反対の鼻から洗浄液を出す
反対の鼻も同様に行う
ティッシュで優しく鼻をかむ
炎症を起こしている上咽頭炎に潤いを与え、症状を緩和しましょう。
首の後ろを温める
首を温めると上咽頭の血流が整い、上咽頭炎の特有のうっ血を改善することができるため、慢性上咽頭炎の症状を和らげることができます。
湯たんぽ
ネックウォーマー
使い捨てカイロ
温めたタオル(電子レンジで数分温める・お湯をかけてよく絞る)
上記のものを首のうしろに当てて仰向けで寝ると、5分ほどで鼻通りが解消され、リラックス効果を得ることもできます。
特に、首は体温を保つうえで重要な部位。日頃から首を冷やさないことが大切です。
鼻呼吸を心がける
上咽頭炎などの鼻の奥が炎症を起こしていると、粘膜が腫れてしまい鼻づまりを引き起こし、口呼吸になるケースが多くあります。
口呼吸になってしまうと、免疫機能が低下したり、ウイルスに感染しやすくなったり、体にさまざまな影響を与え、不調を招く恐れがあります。その影響は上咽頭にも現れます。
鼻呼吸は、鼻から空気を取り込む際に鼻毛や繊毛上皮に覆われた鼻腔を通ることで空気を浄化することができます。しかし、口呼吸は口から空気を取り込む際に直接冷たい風が上咽頭に直撃することで、上咽頭炎の悪化に繋がるといわれています。
口呼吸を防ぐことができる2つの予防法をご紹介します。
舌の先を上顎に押し当てる
鼻づまりが原因の場合は、鼻うがいなどのセルフケアで鼻通りをよくする必要がありますが、無意識に口呼吸が癖になっている方は、舌の先を上顎にギュッと押し付けると、仮に口が空いていても自然に鼻呼吸を行うことができます。
舌の位置を上顎に押し付ける癖をつけることで、鼻呼吸を獲得することができます。
舌も筋肉なので舌を押し上げる力が弱いと、無意識に舌の位置が下がってしまうこともありますが、意識的に継続することで舌を上に持ち上げる筋肉がつくようになります。
就寝時は口にテープを貼る
日中は舌の位置を意識し、セルフケアを行うことで口呼吸を防ぐことができますが、就寝時は口呼吸になってしまう可能性があるため、就寝時は口にテープを貼ることをおすすめします。
絆創膏やマスキングテープなど肌に負担がかからないテープを唇に貼付けることで、鼻呼吸を促すことができるため、上咽頭炎の悪化を防ぐことに繋がります。
まとめ
本記事では、慢性上咽頭炎のセルフチェック、慢性上咽頭炎を緩和する3つの方法をご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?
慢性上咽頭炎は、医学的には解明されていない病気ですが、本記事のセルフチェックに当てはまる方は、医療機関で診断を受けることをおすすめします。
慢性上咽頭炎を患っている場合は、病院で適切な治療を続けながら、ご紹介した慢性上咽頭炎の症状を緩和する方法も併せて行うことで症状を和らげ、悪化を防ぐことができます。
特に鼻うがいは、慢性上咽頭炎の原因であるウイルスの感染、鼻炎や副鼻腔炎などの鼻の疾患を予防することもできるので、毎日の習慣として取り入れてみてください。