インフルエンザ対策には湿度の管理が重要!潤いを保つための対処法
毎年11月〜12月頃に感染の兆しがみえ、1月~3月に流行のピークを迎えるインフルエンザ。
インフルエンザに感染すると、38度を超える高熱・全身倦怠感・食欲不振などのつらい症状を引き起こすため、感染症対策を行っている方も多いのではないでしょうか。
ワクチンの予防接種や手洗いうがい、咳エチケットなど、さまざまな感染症対策がありますが、専門家の間では「湿度の管理」が重要といわれています。
この記事では、インフルエンザ対策に湿度が重要視される理由、潤いを保つための5つの対処法についてご紹介します。
インフルエンザ対策に効果のある方法をお探しの方は、ぜひ参考にしてみてください。
インフルエンザ対策に湿度が重要視される理由とは?
インフルエンザ対策を行っている方も「湿度についてはあまり重要視していなかった」「乾燥がどのような影響を及ぼすのか知らない」そんな方もいらっしゃるのではないでしょうか。
まずは、インフルエンザ対策として湿度が重要視される理由についてご紹介します。
インフルエンザウイルスは高温多湿に弱い
インフルエンザウイルスは、高温多湿の環境に弱く、気温30℃、湿度50%以上の環境になると、生存することが難しく、感染性を失います。
一方、気温15℃以下で湿度が40%を下回り、空気が乾燥している状態だと、ウイルスの感染力が強まり、ウイルスの表面が水分を失うので空気中に浮遊しやすくなります。
すると、ウイルスが含まれている可能性のある飛沫が、咳やくしゃみをした際に勢いよく飛びやすくなり、インフルエンザウイルスをまき散らしてしまう可能性があります。
そのため、湿度を調整し、インフルエンザウイルスが好まない環境作りを心がけましょう。
湿度がウイルスの寿命を短くできる
ウイルスの寿命には、湿度と温度が強く関係していることが分かっています。
これは、1961年に行われたインフルエンザウイルスの寿命をみる「ウイルスの生存実験」による研究データによるもので、湿度と温度の変化が6時間後のウイルスの生存率にどのような影響をもたらすのかを研究したものです。
湿度と温度を変化させるとウイルスの生存率は、下記のように大幅に変化しました。
【温度7〜8℃の場合】
- 湿度20~25%:ウイルスの生存率63%
- 湿度49~51%:ウイルスの生存率42%
- 湿度81~82%:ウイルスの生存率35%
【温度20.5〜24℃の場合】
- 湿度20~25%:ウイルスの生存率66%
- 湿度49~51%:ウイルスの生存率3〜5%
【温度32℃の場合】
- 湿度49~51%:ウイルスの生存率ほぼ0%
このように、湿度と温度は、ウイルスの生存率に大きく関係しており、湿度と温度ともに、高くなるほどウイルスの寿命が短くなることが分かっています。
ワクチンの予防接種だけでは感染は防げない
インフルエンザワクチンは、感染性をなくしたインフルエンザウイルスの免疫を獲得することで、インフルエンザの感染率を下げることができる予防法です。
ワクチンを接種することで、もしウイルスに感染した場合でも重症化を防ぐことができます。
しかし、予防接種を受けたら必ずしもインフルエンザに感染しないというわけではなく、感染するケースも少なくありません。
そのため、ワクチンの予防接種以外の対策もしっかりと行うことが大切になります。
繊毛運動を正常に働かせる
喉の粘膜に付着したウイルスを体外に排出する働きをする繊毛運動。
人の粘膜や気管支には繊毛という細かい毛があり、細菌やウイルスから体を防御する機能が備わっています。この働きを繊毛運動といい、乾燥状態が続くと、粘液量が低下し繊毛運動の本来の働きが機能せず、ウイルスが体内に侵入しやすくなります。
空気が乾燥しないように湿度をコントロールすることは、繊毛運動が正常に働き、防御機能を高めることができるため、インフルエンザの感染予防に繋がります。
潤いを保つための5つの対処法
前述したようにインフルエンザ対策には、乾燥する冬期でも湿度を調整し、病原体であるインフルエンザウイルスが好まない環境作りをすることが大切です。
ここからは、湿度をコントロールし、潤いを保つための5つの対処法をご紹介します。
喉や鼻の粘膜、部屋の潤いを保つのに効果的で、インフルエンザに感染するリスクを抑えることができる対処法なので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
鼻うがいで鼻の粘膜を潤す
鼻うがいとは、鼻洗浄用品を使用して鼻の中を綺麗に洗浄することができるセルフケアです。洗浄液を鼻の中に流し込むことで、鼻の粘膜を潤すことができます。
ウイルスが体内に侵入する前に鼻うがいを行って、鼻の奥に付着したウイルスを直接洗い流すことができればインフルエンザに感染することを防ぐ効果も期待できます。
鼻うがいの洗浄方法は、市販されている鼻洗浄用品を活用して洗浄する方法と、コップやスポイトなどの家庭にあるものを活用して洗浄する方法の2種類に分けられます。
慣れていないと鼻うがいに苦戦したり、痛みを感じたりする場合もあるので、まずは市販の鼻洗浄器具を使い、慣れていくことをおすすめします。
鼻洗浄用品の選び方に悩んだら、下記のポイントを押さえて購入してみるといいでしょう。
- 洗浄器具と洗浄液がセットになっている使いやすいもの
- 刺激が苦手な方向けのスプレータイプ
- 簡単にお手入れができる洗浄器具
- 容量が多く、価格がリーズナブルなもの
- 無添加で低刺激なもの(メントールなどが入っていない)
また、鼻うがいは正しく行わないと、中耳炎を引き起こす恐れもあるため、不安な方は耳鼻咽喉科やドラッグストアの専門医に相談してから行うようにしましょう。
加湿器で部屋の乾燥を避ける
潤いを保つ最も有効な対処法は、加湿器で湿度をコントロールすることです。
インフルエンザ対策として効果を高めたいのであれば、部屋の湿度は40~60%を維持するのが理想といわれています。適切な湿度が保たれていると、空気中の水分によりウイルスが地面に落ちるため、鼻や口からウイルスを吸い込むことを防ぐことができます。
加湿器の使用後は、地面に落ちたウイルスが再び舞ってしまわぬよう、モップや掃除機で室内を清潔にすることも忘れずに行いましょう。
また、加湿器の効果を高めるためには適切な製品を選ぶことも大切です。加湿器のサイズや機能は、メーカーや商品によって異なるため、部屋の広さに合わせて加湿器を選ぶようにしましょう。
加湿器がない方は、濡らしたタオルをハンガーに掛けてつるしたり、沸騰したお湯を部屋に置いたりすることも、手軽に乾燥を防ぐことができる対処法です。
前述したように部屋が乾燥していると、ウイルスの感染性を高め、鼻や喉も渇いてしまい、体の防御機能が低下する恐れがあります。
常に部屋の乾燥に気を配り、部屋の湿度を下げないための対策を行っていきましょう。
緑茶をこまめに飲む・うがいをする
緑茶にはカテキンによる喉の殺菌作用と喉の潤いを保つ2つの効果があるといわれています。
特に乾燥しやすく、インフルエンザが流行する時期は、水筒に緑茶を入れて持ち歩き、意識的に飲むようにすると殺菌効果によりインフルエンザに感染することを防いでくれます。
また、水分補給をこまめにすると体が温まり、優しく喉を潤わすこともできます。
一般的にうがいを行う際に水ではなく緑茶を使用することで、殺菌効果が見込まれ、インフルエンザなどのウイルスにも効果を発揮します。
唾液を増やすための工夫をする
インフルエンザの感染を防ぐためには、喉を潤すための唾液が欠かせません。
唾液の分泌量を増加させ、喉の潤いを保つことを心がけましょう。
- 食事の際は、よく噛んで食べる
- ガム・飴・トローチをなめる
- ストレスを発散し、リラックスする
- 唾液の分泌を促す食べ物をとる(レモン・梅干し・昆布など)
- 口周辺のマッサージや体操を行う
唾液の分泌量が少ない、喉の乾燥が気にある方は、ぜひ生活に取り入れてみてください。
十分な休養と睡眠をとる
体の疲労が喉の乾燥を引き起こすケースもあるため、休養と睡眠をとることは大切です。
見過ごされてしまうことが多いですが、疲労や睡眠不足が蓄積するとストレスとなり、心と体のダメージによる悪循環から、喉の乾燥を招くケースも少なくありません。
また、「忙しい日々が続き休めていない」「寝不足が続いている」など、疲労がたまっていると喉周辺の筋肉を硬直させる可能性があります。さらに、休養や睡眠が十分にとれていないと、免疫機能の低下からインフルエンザに感染するリスクが非常に高くなります。
ゆっくりと湯船に浸かったり、体をほぐしたり、良質な睡眠をとれるように工夫をすることが、喉の潤いを保つことに繋がります。
まとめ
この記事では、インフルエンザ対策に湿度の管理が重要視される理由、潤いを保つための5つの対処法についてご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?
ワクチンの予防接種をはじめ、さまざまな感染症対策がある中でも、ウイルスや人間の体と強く結びつきがある湿度の管理は、インフルエンザ対策として非常に重要です。
高い湿度を保つことでウイルスの生存率や感染力を抑え、インフルエンザに感染しにくい環境や状態にすることができるので、湿度の管理を意識的に行ってみてくださいね。
また、ご紹介した潤いを保つための5つの対処法は、喉や鼻の粘膜に潤いをもたらしたり、部屋の乾燥を防いだりすることで、インフルエンザ対策としての効果が期待できるので、ぜひ日常生活の中に取り入れてみてください。