副鼻腔炎の鼻うがい薬がないときの作り方と痛くならないやり方
副鼻腔炎は「蓄膿症」とも呼ばれる病気で、鼻の内部の副鼻腔と呼ばれる部分に炎症が生じることで起こります。
鼻水が出たり、鼻がつまったり(鼻閉)、鼻水が喉に落ちてきたり(後鼻漏)という症状のほか、顔面痛や頭痛なども起こります。嗅覚障害の症状を訴えるケースもあり、酷い場合には手術を行わなくてはならないなど重症化してしまうこともあります。
副鼻腔炎の症状の改善や予防には鼻うがいが役立ちますが、鼻うがい洗浄液をつい買い忘れて使い切ってしまったりなんてこともありますよね。
この記事ではそんな時に役立つ、自宅でも作れる鼻うがい洗浄液の作り方や鼻が痛くならない鼻うがいのやり方をご紹介していきます。
日本では年間およそ1500万人が副鼻腔炎に
副鼻腔炎は一般的には「蓄膿症」として知られています。慢性と急性の2種類に分けられ、大人も子供も発症する病気です。
日本では年間におよそ1500万人もの人が副鼻腔炎を患っていると言われており、罹患している人は多いですが、治療しないまま放っておくと悪化して中耳炎を引き起こしたり、鼻茸と呼ばれるポリープが鼻の中にできてしまうことがあります。
この鼻茸ができてしまうと鼻うがいや点鼻薬だけでは症状を改善させることが難しくなってしまい、手術が必要になるケースもあるため、悪化させないことが大切です。
副鼻腔炎(蓄膿症)には鼻うがいが効果的
副鼻腔炎にも種類があり、30年ほど前までは副鼻腔(空洞)に膿が溜まる「慢性副鼻腔炎」にかかる人が多くいましたが、20年以上前から少しずつ、アレルギー体質の影響を受けた副鼻腔炎「好酸球性副鼻腔炎」にかかる人が増加し始めました。
再手術の必要のない治癒率は慢性副鼻腔炎でおよそ70%、好酸球性副鼻腔炎でおよそ60%と言われていますが、再発を防ぐために最も重要とされているのが自宅で行うセルフケアです。
副鼻腔炎は治りにくい病気ではあるものの、鼻うがいでのセルフケアを習慣化することで治療効果を高めたり、つらい症状の改善・解消・予防ができます。
鼻うがいだけで治るケースも
軽い副鼻腔炎の方の場合、鼻うがいを習慣化しただけで症状が治るケースもあるため、妊娠している方など点鼻ステロイド薬を使った治療やマクロライド系抗生剤の内服治療などの薬物療法を避けた方がいい方の場合、鼻うがいが有効です。
鼻うがいは、洗浄液で鼻腔や咽頭などを洗浄することでさまざまな不調を引き起こす原因となる炎症性の物質を薄めることができるため、鼻うがいには下記のような効果があります。
- 後鼻漏を感じることが少なくなる
- 副鼻腔炎による粘性・弾性の高い鼻水がすっきりする
- 気管支などに流れ込む炎症性の物質が薄まり、炎症が悪化するのが抑えられたり、肺に関連する疾患の症状やぜんそくなどの気管支疾患をやわらげる
- ウイルス・細菌・アレルギーの原因となる物質を除去できるためぜんそくの症状やアレルギー性鼻炎の予防になる
なぜ鼻うがいは効果的?
副鼻腔炎の人の鼻水は粘性・弾性が強いのが特徴で、ねばねばしています。副鼻腔炎を治すためには、このねばねばした鼻水を身体の外に出さなければいけません。
鼻の粘膜は繊毛に覆われています。外から入ってくる細菌・ウイルス・ホコリなどの異物は、この繊毛によって鼻水とともに外へ排出されますが、鼻水の粘性や弾性が高いと繊毛に絡まってしまい、この働きが衰えてしまうのです。
すると、長時間異物が鼻の中にとどまることとなり、ウイルスが増殖したり、炎症物質が鼻腔や副鼻腔に停滞し、炎症の慢性化につながります。
鼻うがいをすることでねばねばの鼻水や停滞したウイルス・炎症物質などを洗い流すことができます。
鼻うがい薬がないときにも使える洗浄液の作り方
鼻うがいのための洗浄液は現在ではいくつも市販されており、市販のものを使用することで、安全に手間なく手軽に鼻うがいを行うことができます。
しかし、うっかり洗浄液を買い忘れてしまうこともありますよね。ここからはそんな場合にも安心の、鼻うがいのための洗浄液の作り方をご紹介していきます。
鼻うがい洗浄液の作り方にも色々ありますが、中でも効果が高いのが「重曹」を使った洗浄液です。
重曹は鼻水の粘性を弱める働きをしてくれるため、塩だけの洗浄液を使った鼻うがいよりも高い効果を発揮します。
アメリカで行われた大規模な研究でもその効果が明らかになっており、抗菌剤を使用せずに重曹を加えた洗浄液による鼻うがい2週間続けたところ、鼻づまりが70%、後鼻や鼻水も55〜70%解消したという結果が出ています。
洗浄液を作るときに用意する材料は、下記のものです。
- 市販の鼻うがいボトルか、ノズルのついたプラスチック容器
- 精製水もしくは水を沸騰させてから冷ましたぬるま湯500ml
- 重曹2.5g(スーパーなどで売られている食品用のもの)
- 塩5g
作り方は簡単で、容器に500mlの精製水(もしくはぬるま湯)、重曹2.5g、塩5gを入れて混ぜ合わせるだけです。
重曹(炭酸水素ナトリウムや重炭酸ソーダとも呼ばれる)はパンや焼き菓子を作る時に使われるベーキングパウダーや内服薬の中にも入っており、血液や唾液など人間の身体の中にも含まれている成分のため安心して使うことができます。
鼻がツーンとしない鼻うがいのやり方
鼻うがいをしたことがない方の中には「鼻うがいは怖い、痛そう、つらそう…」というイメージをお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか?
プールなどで鼻に水が入るとツーンとしますよね。鼻水はツーンとしないのに、なぜ水だと鼻が痛くなるのか…それは、水と鼻水では「浸透圧」が異なっているからです。
鼻水や涙など人間の体液の塩分濃度は0.9%になっています。痛みを感じないようにするためには、人間の体液と同じ塩分濃度の洗浄液を作ればいいのです。また、重曹には緩衝作用があり刺激を抑えてくれるため、生理食塩水だけを使用した鼻うがいよりも痛みを感じにくくなります。
具体的な鼻うがいのやり方についてですが、いくつかやり方法があります。初めて鼻うがいを行う方や、慣れていない方は濡れてもいいようにお風呂場で行うのがおすすめです。
- 1日に行う鼻うがいの回数は1〜2回ほどが目安。やりすぎないように注意する
- 洗浄液を鼻に入れるときに大きく上を向かないようにする
- 洗浄液を鼻に入れるときに洗浄液やつばを飲み込んでしまわないように気をつける
- 後鼻漏・のどが痛い時、鼻がひどくつまっている時は行わない
- 鼻うがいが終わった後に、鼻を強くかまない
上記のポイントに注意して鼻うがいを行うとよいでしょう。耳に洗浄液が入ってしまったり、強く鼻をかむと中耳炎の原因となります。
鼻うがいの方法
容器を使う方法です。鼻の穴にノズルを差し込んで、洗浄液を鼻に注入し鼻うがいを行います。一般的に鼻うがいというと、この鼻に洗浄液を注入する方法です。
- 鼻うがいの容器に500mlの洗浄液を入れる
- 身体を前に倒しお辞儀をするような姿勢になる
- 顔をやや横に倒し、ノズルの先を鼻の穴に差し込んで、容器を押しながら洗浄液を鼻に流し込んでいく(洗浄液を鼻に注入しやすくなるよう「あー」と発声するのがコツ)
- 流し込んだ洗浄液を鼻から出す
洗面器を使う方法
慣れていない場合は洗面器から洗浄液を吸い込む方法もおすすめです。洗面器を使う場合は洗面器のサイズに合わせて多めの量を作っておくようにしましょう。
- 2Lの洗浄液を洗面器に入れる
- 指で片方の鼻の穴を押さえて塞いだら、洗面器に注いだ洗浄液に顔を近づけ、塞いでいない方の鼻の穴から洗浄液を吸い込む(この時に洗浄液を飲み込まないように注意する)
- 吸い込んだ洗浄液を鼻から出す。(鼻うがいに慣れてきたらもう片方の鼻の穴から出してみる)
まとめ
鼻うがいのための洗浄液の作り方や、痛くない鼻うがいのやり方などについてご紹介させていただきましたがいかがでしたでしょうか?
副鼻腔炎(蓄膿症)に悩まされている人は多く、悪化すれば中耳炎や鼻茸というポリープができてしまうなど、手術が必要になってしまうこともあります。
鼻うがいは副鼻腔炎の予防に効果的なだけではなく、軽い副鼻腔炎であれば鼻うがいを習慣化するだけで治すことができるケースもあるため、積極的に鼻うがいをおこなっていくのがおすすめです。
鼻うがいと言えば、人間の体液と同じ塩分濃度の塩水を使った方法が一般的ですが、そこにさらに重曹を加えることで、より痛みを生じにくくすることができます。
鼻うがいのためのキットは商品化もされており、市販のものを使用するのが一番安全ではありますが、買い忘れてしまった時や切らしてしまったときなどは、ぜひ今回ご紹介させていただいた方法で洗浄液を作ってみて、鼻うがいをしてみてはいかがでしょうか。