鼻うがいの正しいやり方を解説!水道水を使った方法に注意
近年注目されている鼻の奥を綺麗に洗い流せる鼻うがいは、自分で洗浄液を作って実施するにはいくつか注意が必要です。
正しいやり方で実施することで、ウイルス対策や鼻の疾患に効果のある鼻うがいですが、正しく行わないと中耳炎になってしまう可能性があり危険です。
また、水道水を使った鼻うがいは、水道水に含まれている微生物が鼻腔や副鼻腔、最悪のケースは脳にも影響を及ぼすことがあります。
しかし、鼻うがいを習慣化することでさまざまな効果を実感できます。そのため、鼻うがいの正しいやり方を覚えることが重要です。
この記事では、鼻うがいの効果や正しい鼻うがいの方法とともに、鼻うがいをするときに注意することをご紹介します。鼻の中を綺麗に洗い流すことができる、正しい鼻うがいのやり方を覚えてウイルス対策や鼻詰まりの解消を目指しましょう。
鼻うがいとは
日常的に鼻うがいをすることで細菌やウイルスを綺麗に洗い流し、風邪、インフルエンザ、新型コロナウイルスの予防に効果的です。
細菌やウイルスを洗い流すだけではなく、鼻の奥や副鼻腔にたまっているような、ひどい鼻詰まりも解消できるので、さまざまな鼻の疾患の症状緩和にも役立ちます。
しかし、鼻うがいは正しく行わないと中耳炎になってしまう可能性もあり、間違った知識やうろ覚えで行うのは非常に危険です。
そこでまずは、鼻うがいの効果と正しい鼻うがいの方法をご紹介します。正しいやり方を覚えて、効果的に鼻うがいを実施しましょう。
風邪、インフルエンザ、新型コロナウイルス予防
体に入ったウイルスは、まず最初に上咽頭を中心とする鼻咽腔粘膜に付着し感染します。特に新型コロナウイルスは、発症前の潜伏期間から感染力があると言われていますが、鼻うがいをすることで、上喉頭などに付着している細菌やウイルスを除去することができます。
また、鼻の粘膜を湿らせておくことで、乾燥を防ぐこともできます。乾燥していると細菌やウイルスが活発に活動をするため、乾燥を防ぐことは非常に重要です。
鼻の疾患を予防し症状を緩和
風邪やインフルエンザ、新型コロナウイルスなどのウイルス対策以外にも、鼻うがいは以下のようなさまざまな鼻の疾患の予防や症状の緩和に役立ちます。
- 副鼻腔炎
- 後鼻漏
- 花粉症
副鼻腔炎は抗生物質と鼻うがいの併用療法で症状の改善が期待できます。また、薬が使えなかったり手術ができないという方にとっては、鼻うがいで副鼻腔の中まで洗浄することで、症状の悪化を防ぐことも可能です。
後鼻漏は寝ているときなどに鼻水がのどに落ちてくる症状で、不快感を伴います。就寝前に鼻うがいをすることで、後鼻漏の症状が軽減され、睡眠時の不快感がなくなります。
花粉症などのアレルギー性鼻炎にも効果的で、特に子供や妊娠中の女性、高齢者などの薬が使えない方に鼻うがいは最適です。鼻うがいをすることで保湿しながら原因物質を洗い流すことが可能です。
正しい鼻うがいの方法
正しい鼻うがいに必要なのは、鼻水と同じ浸透圧である食塩濃度が0.9%の生理食塩水と鼻うがい用の洗浄器具です。
この二つは市販の鼻うがいキットを利用することで安全に使用することができますが、自分で用意することも可能です。
一旦沸騰させた水1Lに対して9g食塩を入れた生理食塩水を、一回の使用では200~300cc使います。洗浄器具は自分で用意する場合はドレッシングボトルなど先の細い容器を用意するようにしましょう。
鼻うがいは以下のように行います。
- 顔を斜め下に向けて鼻に洗浄器具を差し込む
- ゆっくり生理食塩水を流し込む
- 反対の鼻から生理食塩水を出す
生理食塩水を使うことで、プールやお風呂で誰もが経験したことのある、ツーンとした痛みを感じることがありません。
上記のように自分で生理食塩水を作って行うやり方だと、塩分濃度を間違えてしまったりする可能性もあるため、市販の鼻うがいキットを購入して行うことをおすすめします。
鼻うがいで気を付けること
鼻うがいはウイルス対策に良いだけではなく、さまざまな鼻の疾患にも効果的なので正しい方法を覚えて毎日の習慣にしたいという方も多いですよね。
鼻うがいは注意すべき点がいくつかあります。この注意点さえ守れば、鼻うがいを毎日行っても問題ありません。
ここからは、鼻うがいをするときに気を付けることをご紹介します。
水道水をそのまま使用しない
鼻うがいを行うときは、必ず水道水を一度沸騰させてから行うようにしましょう。水道水を少し温めて、もしくはそのまま水道水を使って行うというのは非常に危険です。
水道水をそのまま使うことで、非結核性抗酸菌という細菌による、慢性副鼻腔炎が引き起こされる可能性があります。
非結核性抗酸菌は、土や水などのいたるところに生息している細菌で、水道水にも含まれています。この非結核性抗酸菌が口から胃の中に入り込むことは日常的で問題はありません。胃の中の胃酸がほとんどの病原体を殺菌してくれるのです。
しかし、鼻腔は空気が出入りする場所であって水が出入りする構造になっていないうえに、非結核性抗酸菌やアメーバなどの病原体が生存できてしまう環境にあります。
米国の研究者の調査によると、水道水で鼻うがいをしている方に非結核性抗酸菌による慢性副鼻腔炎の患者が多く、注意が必要との研究結果があります。
また、水道水での鼻うがいを実施していたことによって、アメーバが脳に入り込んで死亡してしまったという例もあり、水道水をそのまま使って鼻うがいを行うことは非常に危険な行為であると言えます。
鼻うがいを行うときは、必ず一度沸騰させた水を使って行うということを守り、水道水をそのまま使用することは避けましょう。市販の鼻うがいキットを使えば洗浄液を作り間違えるということもなく、簡単に鼻うがいを実施することができます。
上を向いて流し込まない
生理食塩水を流し込むときには、上を向かないようにしましょう。上を向きすぎてしまうと、生理食塩水が耳に入り込んでしまいます。
耳に生理食塩水が入り込むということは、鼻についていた細菌やウイルスが耳に流れ込むということになります。
その結果中耳炎を引き起こしてしまうことがあり、耳に生理食塩水が入り込むのは危険な行為です。上を向いてしまうと、意図せず耳に生理食塩水が入り込んでしまうことがあるため、斜め下を向いて鼻うがいを行うようにしましょう。
生理食塩水と一緒につばを飲み込まないようにする
生理食塩水を流し込んでいるときにつばを飲み込んでしまうと、上記の例と同じように耳に生理食塩水が流れ込んでしまう可能性があります。
つばや生理食塩水は飲み込まないように注意しましょう。
生理食塩水を流し込んでいるときは「あー」と声を出しながら流し込むのがおすすめです。洗浄液は吸い込むのではなく、流し込むように気を付けると共に、声を出すことで吸い込んでしまったり、飲み込んでしまうリスクを回避することができます。
鼻うがいのあとに鼻を強くかまない
鼻うがいをしたあとは、鼻を強くかまないようにしましょう。強くかみすぎてしまうと、耳に生理食塩水が流れ込んでしまいます。
生理食塩水がまだ鼻の中に残っていると感じたら、頭を傾けて外に排出するようにしましょう。頭を傾けるだけで、しっかり鼻の中の生理食塩水を取り除くことができます。
鼻を強くかんで生理食塩水を出そうとする行為は危険なので控えましょう。
やりすぎに注意する
鼻うがいは一日1~2回程度にしましょう。やりすぎてしまうとかえって鼻の粘膜を傷つけてしまったりして、ダメージを与えてしまう可能性があります。
何回も鼻うがいをすることで、自分の持っている粘膜のバリアが壊れて、細菌やウイルスの侵入を招いてしまうこともあります。
鼻うがいは、帰宅後、就寝前、朝起きたときなど、自分のタイミングを決めて行うようにしましょう。特に帰宅後すぐの鼻うがいは、外で鼻の奥についてしまった細菌やウイルス、花粉などを流すのには最適です。
必ず一日1~2回という回数を守り、やりすぎてしまうことで鼻の粘膜を傷付けたり、粘膜のバリアを壊してしまうというリスクを避けるようにしましょう。
まとめ
鼻うがいの効果や正しい鼻うがいの方法とともに、鼻うがいをするときに注意することをご紹介しましたが、参考になりましたか?
鼻うがいは、花粉症の方や副鼻腔炎、後鼻漏に悩まされている方にも非常に有効で、耳鼻咽喉科で処方してもらった薬を飲めない方や、飲んでも症状が改善されないという方は鼻うがいを試すことで、症状を緩和することが可能です。
また、風邪、インフルエンザ、新型コロナウイルスの予防にも最適で、鼻の奥についてしまった細菌やウイルスを効果的に洗い流すことができます。
しかし、水道水をそのまま使用したり、耳に生理食塩水が流れ込んでしまうようなやり方は危険なので、避けるようにしましょう。
自分で作った生理食塩水とドレッシングボトルなどでも鼻うがいは行うことができますが、安全に痛みなく行うためには、市販の洗浄液のもとと洗浄器具を使うことをおすすめします。市販薬は自分で作った生理食塩水に比べて刺激が少ないので、痛みに抵抗がある方は自分で作るよりも市販の洗浄液のもとと洗浄器具を使う方法で試してみて下さい。
今回ご紹介した内容を参考に、正しい方法で鼻うがいを行い、ウイルス対策や鼻の疾患の予防、症状の改善に役立ててみて下さいね。