副鼻腔炎と後鼻漏によるさまざまな影響と症状を悪化させない3つの対策
鼻の病気の代表といえば、多くの方が花粉症のようなアレルギー性鼻炎を思い浮かべますよね。しかし、副鼻腔炎と後鼻漏も、花粉症と同じように日々の生活に支障が出てしまうつらい鼻の病気です。
副鼻腔炎と後鼻漏の症状が軽い状態であれば、早めの治療で完治しますが、何もせずに放っておくと慢性的な状態になり、長期的な治療を続ける必要があります。
そんな副鼻腔炎と後鼻漏に、効果のある適切な予防策を毎日繰り返し続けることで、快適な日々を過ごせるようになるため、予防策を生活に取り入れることはとても重要となります。
この記事では、副鼻腔炎と後鼻漏が鼻・喉・体に及ぼす影響と、症状を軽くするための3つの予防策の紹介に加え、病院での治療についても簡単にご説明します。
ぜひ、本記事を参考にしていただき、副鼻腔炎と後鼻漏を治していきしょう。
副鼻腔炎と後鼻漏
鼻は3つの部位により形成されており、副鼻腔もそのうちの一つです。副鼻腔炎とは、頬の周囲の空洞である副鼻腔の中の粘膜が、炎症を起こし腫れた状態のことを指します。
副鼻腔炎が原因で、後鼻漏という鼻水が喉に流れる症状も引き起こすことがあるため注意が必要です。また、風邪と似た症状でもあるため、効果のある治療を行うには副鼻腔炎と風邪の違いを知っておくことが大切です。
副鼻腔炎と後鼻漏が発症してしまうことで、多大なストレスや体への影響は、日常生活に支障をきたす可能性も十分に考えられます。
ここでは、副鼻腔炎になる原因と症状、後鼻漏についてご説明します。
副鼻腔炎
副鼻腔炎には、急性副鼻腔炎と慢性副鼻腔炎があり、それぞれ発症原因と症状の具合は異なります。急性副鼻腔炎と慢性副鼻腔炎のどちらとも、副鼻腔が炎症を起こしていることには変わりはありません。
急性副鼻腔炎
急性副鼻腔炎の主な原因は、ウイルスや細菌に感染することです。副鼻腔に、ウイルスや細菌が入り込み、粘膜に付着し感染することで、さまざまな痛みのあるような症状を引き起こします。
- 症状の期間は1ヶ月程度(1ヶ月以内に症状が消失)
- ウイルスや細菌が、副鼻腔に感染することで炎症が起こる
- 膿性や頬部痛などの急性炎症症状
- 鼻漏、後鼻漏や風邪の症状
頬部痛といった症状は、鼻の粘膜が腫れて、副鼻腔の入り口が塞がることで、副鼻腔の圧力が変わり、頬あたりに痛みを感じます。
急性副鼻腔炎の状態を放置してしまうと、副鼻腔に膿が溜まり、やがて菌の混ざった膿が喉にまで流れ落ち、副鼻腔以外にも炎症が広がるため注意が必要です。
慢性副鼻腔炎
急性副鼻腔炎の症状が長引くと、慢性副鼻腔炎に移行します。
- 症状の期間は3ヶ月以上長期的に続く
- 主に、副鼻腔に粘性の鼻水や膿が溜まることが原因
- 鼻閉(鼻づまり)、後鼻漏、頭痛、頭重感
鼻水や膿がしっかりと排出できずにいると、さらに炎症が悪化し、鼻水と膿が、副鼻腔に溜まってしまうといった悪循環が起こり、症状が慢性化し、慢性副鼻腔炎となります。
蓄膿症(ちくのうしょう)という鼻の病気を一度は耳にしたことがあるかもしれませんが、慢性副鼻腔炎は蓄膿症とも呼ばれます。
副鼻腔炎と風邪との違いは、発熱があるかないかで判断ができます。ウイルスや細菌に感染し、風邪を引くと発熱を伴いますが、副鼻腔炎は発熱がありません。
熱が出ず、粘着性のある膿や鼻水が長期間出ている場合は、副鼻腔炎の可能性が高いと言えます。
副鼻腔炎が慢性化すると、痛みはほとんどなく、鼻水が出る、鼻がつまる、匂いを感じない、倦怠感があるといった症状が続くため、風邪やアレルギー性鼻炎と間違いやすいです。
後鼻漏
後鼻漏になると、初めはサラッとした水のような鼻水が作られますが、段々と症状が悪化すると、粘着性のある鼻水に変わっていきます。
副鼻腔炎が原因で後鼻漏が引き起こるため、鼻水が喉に流れ落ち、菌を含んでいる鼻水の場合は、喉や呼吸器にまで炎症が広がります。
また、粘着性のある鼻水だと、鼻と喉を繋ぐ咽頭部分や、喉に鼻水がへばりつくことによって、日常生活にさまざまな影響を及ぼします。
- 寝つきが悪くなり睡眠不足になる
- 集中力の低下嗅覚機能が低下
- 食品の腐敗や味がわからなくなる
- 多くの鼻水が胃に流れ、食欲がなくなる
- 危険察知能力の低下
後鼻漏や鼻から発症した病気は、生活に大切な睡眠や食事に悪影響が及び、注意力が低下し事故に繋がる原因にもなるため、早期発見と症状が軽いうちに効果的な治療をすることがとても大切です。
症状を悪化させない3つの予防策
副鼻腔炎と後鼻漏の症状を悪化させないためにも、日々の生活の中に自分でできる予防策を取り入れることも、病気を完治するための近道です。
副鼻腔炎は症状が悪化することで、病院での手術を受ける可能性のある病気ですので、悪化させないことがとても重要となってきます。
ここでは、副鼻腔炎と後鼻漏の症状を悪化させない3つの対策についてご紹介します。
鼻うがいで鼻の中を清潔にする
鼻うがいは、鼻の病気の対策として代表的なセルフケアです。鼻うがいを行うことで、炎症を起こしている副鼻腔以外にも、鼻の奥から喉に繋がる鼻腔や咽頭の洗浄を行い清潔にします。
鼻うがいを行うときは、市販の鼻うがい専用の洗浄器具と洗浄液を揃えると誰でも簡単に始めることができます。
「痛い」「怖い」といったイメージを持つ鼻うがいですが、洗浄器具と洗浄液を使うと爽快さを感じ、痛みのないスムーズな洗浄が可能です。
洗浄器具も種類が豊富なので、副鼻腔炎のような洗浄液の容量を多く必要とする病気にも対応することができます。また、洗浄液には刺激を感じるような余計な添加物も入っていないため体への害もありません。
鼻の粘膜に張り付いたウイルスや細菌と、粘性のある気管にこびりついた鼻水は、鼻をかんだり、喉のうがいだけでは簡単には排出できないので、鼻うがいを対策として取り入れるとよいでしょう。
お酒を控える
鼻の粘膜のほとんどが毛細血管でできています。アルコールは、血管を拡張する作用と、血行をよくする作用があるため、お酒を飲むと余計に鼻づまりが起こります。
鼻づまりが起こることで、副鼻腔に鼻水が溜まってしまい、膿や粘性のある鼻水が作られる可能性が高くなり、慢性化してしまう恐れもあるため、アルコールの摂取量には注意が必要です。
飲酒が禁止なわけではなく、毎日の飲酒や飲む量の調節次第で、症状の状態が変わるため、過剰な飲酒は避けていきましょう。
市販の点鼻液を使いすぎない
市販の点鼻液は、鼻の中に噴霧するスプレータイプの薬の一つです。使用すると、即効性が高いため、常用しやすいことがメリットですが、点鼻薬を使う際も注意が必要です。
点鼻薬の種類によっては副作用も伴うため、長期的に使用しすぎると症状を悪化させてしまうこともあります。また、内服薬のように眠気が出ることがあるため、点鼻薬を使うタイミングも重要です。
症状を抱える方にとって、常用しやすい点鼻薬はとても助かる予防策の一つですが、使用する前に副作用についても一度調べることをおすすめします。
病院での治療も視野に入れる
副鼻腔炎や後鼻漏の症状を完治させるためには、予防策を行うことも大切ですが、病院で専門医による治療も視野に入れましょう。
病院での治療方法にもいくつか種類があるため、医師の指示に従い治療を進めましょう。
ここでは、病院での治療の種類についてご紹介します。
副鼻腔炎の主な治療方法
副鼻腔炎の治療方法には、部分的な局所療法、薬物療法、手術療法があります。症状の状態や重症度によって、これらの治療方法を組み合わせながら治療を行います。
鼻処置ネブライザー療法などの局所療法
ネブライザー療法とは、細かい霧状の抗生物質を鼻から吸い込み、炎症を起こしている箇所を治療するやり方です。
鼻処置と副鼻腔の洗浄も、鼻の奥に溜まった粘質性のある鼻水や、腫れや痛みが引きはじめ、鼻の通りをよくします。
薬物療法
副鼻腔炎と後鼻漏の薬物療法には、下記の3種類があります。
- 抗菌薬
- 噴霧用ステロイド(点鼻薬)
- 傾向ステロイド(飲み薬)
抗菌薬は、急性副鼻腔炎に対しては、様子を見ながら10日間ほど短期間使用し治療を進め、一方で、慢性副鼻腔炎の場合は、抗菌薬を少量ずつ服用し、3ヶ月ほどを目安に長期的に治療を行います。
ステロイドは、炎症を抑えるための薬品です。再発防止を目的とした使用の仕方や、急激に症状が悪化した時に使うため、医師との相談が必要となってきます。
手術療法
手術は、内視鏡を使い、鼻の穴や鼻の中をモニターの映像で確認しながら手術を行うやり方が一般的です。
手術では、炎症を起こしている箇所や粘膜、鼻ポリープを取り除き、副鼻腔の空気循環を改善し、炎症を起こりにくい状態にします。
鼻ポリープは、炎症が長引くことでキノコ状に腫れて垂れ下がっており、匂いを感じづらくしてしまう原因となるため取り除く必要があります。
手術にかかる時間は、重症度により変わりますが、日帰りで手術が終えることもあれば、1週間程度の入院が必要になるケースもあるため、医師との相談の上、手術も視野に入れて治療を進めましょう。
まとめ
副鼻腔炎と後鼻漏の症状と、症状を悪化させない3つの予防策、そして、予防策以外にも病院での治療方法もご紹介しましたが、参考になりましたか?
副鼻腔炎や後鼻漏は、年齢を問わず誰でも症状を抱える病気なので、子供から高齢の方まで、日常生活における病気へのケアと対策がとても重要です。
今回ご紹介した鼻うがいは、日々の生活の中に取り入れやすい予防策です。お酒も、自分の体調が悪い時には控えるように心がけましょう。
風邪との違いも判断しにくいケースもあるため、しっかりと症状を確認し、専門の医師のアドバイスを受けながら治療を進めていきましょうね。