インフルエンザ予防にうがいは効果あり?5つの予防策を紹介
インフルエンザ予防には、うがい手洗いと言われてきましたが、実は近年うがいは効果がないと言われていることをご存知ですか?
インフルエンザウイルスは風邪のウイルスと違い、喉に付着してから細胞内に入るまでにおよそ数分~20分程度と短いため、帰宅してうがいをする頃には細胞内にウイルスが入ってしまっていて、手遅れだということです。
しかし、うがいによって風邪の予防は可能ですし、インフルエンザウイルスに関しても必ずしも細胞内に入ってしまった後とは言い切れないので、うがいが絶対に効果がないとは言えません。
この記事では、インフルエンザの症状や感染経路とともにうがいの効果を解説し、さらにインフルエンザに有効な予防策をご紹介します。
インフルエンザとは
インフルエンザウイルスは、A型、B型、C型の3つに分けられていて、冬に流行するインフルエンザはA型とB型です。
高齢者や乳幼児などの免疫力が低い人がかかると重症化しやすく、合併症として肺炎やインフルエンザ脳炎などが現れることもあります。
まずは、インフルエンザがどのような病気なのかとともに、インフルエンザとうがいの関係を詳しくご紹介します。
インフルエンザの症状
インフルエンザに感染すると、以下のような症状が出ます。
- 38℃以上の高熱
- 関節痛、筋肉痛、頭痛
- 全身倦怠感、食欲不振
- 咳
- 喉の痛み
- 鼻水
インフルエンザの潜伏期間は1~3日です。発症した後は1~3日で突然38℃以上の高熱が出たり、全身倦怠感や食欲不振などの全身症状が現れます。
その後、咳や喉の痛み、鼻水などの呼吸器症状が現れ、稀に腰痛や吐き気などの消化器症状が出ることもあります。
しかし、最近のインフルエンザは発熱がなく、風邪のような鼻水や咳だけの軽い症状や、症状がほとんどない無症候性感染の人が多くいます。
また、インフルエンザの合併症として、インフルエンザ脳炎や肺炎が現れることがあります。インフルエンザ脳炎は子どもに現れる合併症で、異常な行動や言動を繰り返したり、意識障害、けいれんなどを起こします。
成人に現れる肺炎は、熱や咳が続いたり息切れを起こすなどの症状が出ます。このような症状が出た場合は、すぐに医療機関に相談するようにしましょう。
インフルエンザの感染経路
インフルエンザには以下の3つの感染経路があると考えられています。
- 飛沫感染
- 接触感染
- エアロゾル感染
飛沫感染はせきやくしゃみ、会話で飛ぶ飛沫によるもので、接触感染はウイルスの付いた手で、口や鼻に触れることで感染します。
エアロゾル感染は、近年新たに注目されている第三の感染ルートで、空気中に微粒子が安定して長く漂っている状態のことです。空気中に漂っているインフルエンザウイルスを含んだ微粒子を吸い込むことで感染するのでは、と考えられています。
飛沫感染とエアロゾル感染は少し似ていますが、飛沫感染の場合は飛んできた感染者の飛沫が直接付着して感染することで、飛沫は水を含んでいるため3~5m先まで飛ぶとされていますが、空気中を漂うことはありません。
一方エアロゾル感染は、水分が蒸発した小さな粒子で、この小さな粒子は空気中を漂い長時間経っても浮遊していたり、遠くまで飛んでいくことができます。
インフルエンザにうがいは効果的?
冒頭でお伝えしたように、インフルエンザにはうがいは効果的ではないと言われていて、厚生労働省が発表しているインフルエンザの予防策にもうがいは含まれていません。
理由は、数分~20分でウイルスが細胞内に入ってしまうということや、ウイルスの増殖スピードの早さです。
インフルエンザウイルスは、一般的な風邪のウイルスと違い増殖スピードが極端に早く、1個のインフルエンザウイルスが24時間後には100万個まで増えると言われています。
そのため、うがいでインフルエンザウイルスを100%洗い流すことは難しく、うがいだけでは予防は難しいのです。
しかし、うがいは風邪予防には効果的ですし、喉を適度に刺激して粘液の分泌や血行を促進することができます。
さらに喉の潤いを保ち、繊毛運動の衰えを防ぐ効果もあるので、インフルエンザを100%予防できるとは言えませんが、うがいをすることは重要です。
うがいは以下の手順で行いましょう。
- 口に水を含み、ブクブクと口の中をゆすいで吐き出す
- さらに水を口に含んで15秒、上を向いてガラガラとうがいをして吐き出す
- 2を繰り返す
外から帰ったらすぐにうがいをして、ウイルスや細菌を洗い流すようにしましょう。また、市販されているうがい薬を使うことで、喉の殺菌、消毒効果は高まります。
インフルエンザの予防策
インフルエンザを予防するには、うがい以外にもさまざまな方法でしっかり対策することが必要です。
インフルエンザの予防には以下の方法が効果的です。
- 鼻うがい
- 手洗い
- マスク
- 室内環境の整備
- 生活習慣を乱さない
予防策について、それぞれ詳しくご紹介します。
鼻うがいをする
鼻うがいとは、鼻をスッキリさせうがいのように洗い流す方法で、喉の奥に付着した風邪やインフルエンザの原因になるウイルスを洗い流します。
鼻うがいは以下の手順で行います。
- 一度沸騰させたお湯1Lに対して、食塩9gを入れた生理食塩水を200~300cc用意する
- 顔を下に向けた状態で顔を斜めに向けて鼻洗浄器具を鼻に差し込む
- ゆっくり生理食塩水を鼻に流し込む
- 反対の鼻から流し込んだ生理食塩水を出す
- もう片方の鼻も同様に行う
鼻うがいの洗浄液は自分で作ることもできますが、慣れないうちは市販の鼻うがいのもとと洗浄器具を使って行うことをおすすめします。
また、鼻うがいをするときは注意すべき点があるので以下の項目には注意しましょう。
- 上を向かない
- つばを飲み込まない
- 洗浄後に鼻を強くかまない
- やりすぎには注意
鼻うがいをしている最中に上を向いてしまったり、つばを飲み込んでしまうと耳に生理食塩水が入り込んでしまい、中耳炎を引き起こす危険があります。
また、生理食塩水で鼻うがいをしたあとに強く鼻をかんでしまうことでも、中耳炎の危険があるため注意しましょう。
一日に何度も鼻うがいを行うと鼻の粘膜を傷つけてしまうので、朝と夜の2回、起きた後と寝る前に行うのがおすすめです。
正しい手洗いをする
接触感染を防止するために、正しい手洗いを実施しましょう。手洗いは帰宅後すぐ行うようにすることで、手についてしまったインフルルエンザウイルスをすぐに洗い流すことができます。
以下が正しい手洗いの手順です。
- 流水で手を流す
- 石鹸をつけて泡立てる
- 手のひら、手の甲をこすり、指の間をしっかりこすり合わせて洗う
- 親指を反対の手でねじるように洗う
- 指先を手のひらの上でこするように爪の中までしっかり洗う
- 手首を反対の手でねじるように洗う
- 流水で石鹸と汚れをしっかり洗い流す
手洗いが終わったら、清潔な乾いたタオルかペーパータオルで水気をふき取るようにしましょう。
家族で同じタオルを使いまわすことはあまりおすすめできません。また、インフルエンザウイルスはアルコールに弱いため、手洗いのあとにアルコール消毒をすることでもウイルス対策に効果的です。
マスクを着用する
インフルエンザウイルスは、マスクの隙間などから侵入してしまうほど小さいウイルスなので、マスクを着用しただけで100%インフルエンザウイルスの侵入を防ぐことはできません。
しかし、インフルエンザに疾患している人が咳やくしゃみをしたときに出る飛沫を防ぐことはできます。
また、マスクをすることで喉を潤すことができたり、手にインフルエンザウイルスがついた状態で顔を触ったりすることは予防できるため、マスクを着用するようにしましょう。
室内の環境を整える
室内の温度と湿度を適切に保つことも重要です。温度は20~25℃程度、湿度は50~70%程度に保つことを心掛けましょう。
エアコンは最も乾燥しやすいと言われているので、エアコンを使用する場合は加湿器などで加湿しながら使うようにするのがおすすめです。
ただし、加湿しすぎてしまうとアレルギー性の肺の病気を起こしてしまう可能性があり危険なので、70%以上にならないようにしましょう。
生活習慣を乱さない
体の抵抗力を下げないよう規則正しい生活を送りましょう。本来インフルエンザは健康な免疫力があれば自然に治る病気です。体調を保てるように以下のことに注意しましょう。
- 睡眠をしっかりとる
- 適度な運動を行う
- バランスの良い食事を心掛ける
このように体調管理に気を付け、生活習慣を乱さないようにすることが大切です。
まとめ
インフルエンザの症状や感染経路、うがいの効果やインフルエンザに有効な予防策をご紹介しましたが、参考になりましたか?
インフルエンザウイルスへのうがいの効果は、100%予防できるとは言い切れませんが全く効果がないというわけでもありません。
その他のウイルス予防策を一緒に行うことで、より効果の高いインフルエンザウイルス対策になります。
その中でもおすすめの鼻うがいは、市販されている洗浄液のもとと専用器具を使うことで手軽に始めることが可能です。
インフルエンザ対策だけではなく、花粉症や風邪、新型コロナウイルスにも効果の高い鼻うがいを、是非毎日の習慣にしてみて下さいね。