鼻うがいでPM2.5を除去する手順と5つの注意点を
PM2.5が体内に入り込むと、健康に多大な悪影響を及ぼすことはご存知ですか?
大気汚染として認識されているPM2.5は、呼吸器疾患や循環器疾患などを引き起こす可能性が非常に高く、さらに最悪な場合、死に至ることもある危険な有害物質です。
PM2.5という言葉を聞くと警戒すべきだろうとなんとなく思っていたとしても、実はあまり正体を知らない…という人が多くいらっしゃいます。
PM2.5が鼻に入り込むと鼻腔内の粘膜や、上咽頭の粘膜に付着します。しかし、粘膜に付着したPM2.5のような異物は、鼻をかんでも簡単に除去することができません。
セルフケアの代表でもある鼻うがいであれば、鼻の粘膜に付着したPM2.5を除去することができます。PM2.5によって体調を悪くしないためにも、正しい鼻うがいの知識を身につけて、生活の中に取り入れましょう。
本記事では、鼻うがいの手順と5つの注意点に加えて、PM2.5の危険性についても詳しくご紹介します。
鼻うがいについて
鼻うがいは、PM2.5を除去できるセルフケアです。しかし、正しい方法でなければ中耳炎や、痛みを伴う可能性があるため、鼻うがいを生活に取り入れる前にきちんと知識を身につけておく必要があります。
鼻うがいの効果や方法をきちんと理解し、PM2.5の予防を行いましょう。
ここでは、鼻うがいの効果と正しい手順、5つの注意点についてご紹介します。
鼻うがいの効果
もともと鼻は匂いを嗅ぎ分ける機能のほかに、PM2.5や異物などを体外へ排出しようとする「繊毛運動」という防御機能が備わっています。
しかし、繊毛運動によって全てのPM2.5や異物を排除できるわけではありません。そのため、定期的に鼻うがいで、鼻の中をきれいに洗浄することがとても重要なのです。
鼻うがいを行うことで、PM2.5以外にも次のようなものを除去できます。
- 細菌やウイルス
- 花粉
- ハウスダストや埃
- 粘着性のある鼻水
さらに鼻うがいは、次のような鼻の病気に効果が期待できます。
- 風邪
- 新型コロナウイルスやインフルエンザ
- 上咽頭炎
- 副鼻腔炎
- アレルギー性鼻炎(花粉症など)
鼻うがいはPM2.5の予防以外にも、さまざまな病気を予防できるセルフケアですので、生活の一部として根付かせるとよいでしょう。
正しい手順
鼻うがいは洗浄器具と、洗浄液を使って行うセルフケアです。鼻の中に洗浄液を流し込むことで、PM2.5を除去できます。鼻うがいの効果を低下させず鼻の中に入り込んだPM2.5をしっかり除去するには、正しい手順で洗浄を行うことが大切です。
コップやシャワーで鼻の中を洗浄するのではなく、鼻うがい専用の洗浄器具と洗浄液を使うことで、鼻うがいの効果をより高められます。
用意するもの
- 200〜300ccのぬるま湯
- 洗浄液のもと
- 洗浄器具
- タオル
洗浄器具と洗浄液のもとは、薬局やドラッグストアで購入できるので、気軽に始めることができます。
手順
- 200~300ccの水を一度沸騰させ、ぬるま湯(35℃)になるまで温度を下げる
- ぬるま湯に洗浄液のもとを入れて、しっかり溶かす
- 洗浄液を洗浄器具に移し、片方の鼻にあてる
- 体を前に傾け、やや斜め方向を向きながら洗浄器具を軽く押して洗浄液を流し込む
- 反対の鼻からも同様に洗浄液を流し込む
お風呂に入っているときに鼻うがいを行うと衣服が汚れる心配がありません。また、お風呂に入っていることで、鼻が温まっているため鼻の通りがさらに良くなります。
洗浄液は鼻の入り口以外にも、上咽頭もきれいに洗浄できるので鼻の奥にまで侵入したPM2.5を除去することができます。
初めは鼻の中に洗浄液が入ってくる違和感から上手にできないことがありますが、繰り返し行うごとに慣れていきますので、定期的に鼻うがいを行うようにしましょう。
5つの注意点
鼻うがいの正しい手順を覚えるとともに、注意点についても把握しておくことが大切です。
間違いのある鼻うがいを行うことで痛みを伴ったり、中耳炎を引き起こしたりしますが、特別難しい内容ではありませんので、安心して鼻うがいを試してみてください。
真水(水道水)のまま使わない
真水を鼻の中に流し込むと、浸透圧の違いからツンとした強い痛みを伴います。痛みがない鼻うがいを行うには、鼻に流し込む洗浄液を体液と同じ塩分濃度にすることが重要です。
先ほどご紹介した洗浄液のもとは「塩と重曹」が調合されており、適量のぬるま湯に溶かすことで体液に近い洗浄液を作ることができるので、痛みを感じず鼻の洗浄を行えます。
上を向かない
鼻うがい中に上を向いてしまうと耳に洗浄液が流れ込み、中耳炎になる恐れがあるため注意が必要です。
鼻うがい中は体を前に傾け、やや斜め下方向を向きながら洗浄液を流し込みましょう。
唾を飲み込まない
鼻うがい中に唾を飲み込んでしまうと、中耳炎を引き起こす可能性があるため、声を出しながら鼻に洗浄液を流し込みましょう。
洗浄液を鼻に流し込んでいる間は、「あー」と声を出し続けることで唾を飲み込まず、鼻うがいを行うことができます。
鼻を強くかまない
鼻うがい後に最も注意すべき行動は、強く鼻をかむことです。強く鼻をかむと中耳炎になる恐れがあります。
洗浄液が全て流れ出なかったとしても、強く鼻をかまず優しくかむように心がけましょう。
回数を増やしすぎない
鼻うがいの回数を増やし過ぎると鼻の粘膜を傷つけたり、大切な保湿成分まで洗い流したりする恐れがあります。
1日に行う鼻うがいの回数は、朝と夜の2回までにしましょう。もちろん自分のタイミングで鼻うがいを行ってよいのですが、回数を増やすと逆効果になるので必要以上に回数を増やさないように気をつけましょう。
PM2.5の危険性について
PM2.5という言葉を聞いたことがあったとしても、詳しい内容までは知らない方も多くいらっしゃいます。
大気汚染として知られているPM2.5が、どれほど危険なものなのか詳しく知ることで、鼻うがいのようなセルフケアの大切さもより大きくなるでしょう。
ここでは、PM2.5について詳しくご説明します。
PM2.5とは
PM2.5とはParticulate Matter(微小粒子状物質)の略で大気中を浮遊している直径2.5μm(マイクロメートル)以下の極めて小さな粒子のことです。
2.5μmといってもピンときませんが、人の髪の毛の直径が約70μm、花粉が約30μmですので、PM2.5は非常に小さな微小粒子であることがわかります。PM2.5は目では確認できない小さな小さな粒子の単位を示すものであって、特定の物質を表すものではありません。
PM2.5の発生源
- ばい煙を発生させる焼却炉
- 車
- 船
- 飛行機
- 火力発電所
- 工場
- ストーブ
- 煙草
発生源から排出される物質
- 硫黄酸化物
- 窒素化合物
- 揮発性有機化合物
都市の発展に伴い多くの有害物質が排出され、徐々に増加し、大気汚染がより問題となっています。家庭においてもストーブや調理、煙草からもPM2.5は発生しており、また土壌や海洋、火山の噴煙など自然由来のものも関係していることがあります。
病気の種類
PM2.5によって、次のような病気が引き起こされる恐れがあります。
- 喘息
- 肺がん
- 気管支炎
- 不整脈
前述したように、PM2.5は極めて小さな粒子のため、吸い込んでしまうと肺の奥や気管支にまで入り込みます。PM2.5が入り込むと呼吸器系や、循環器系に多大な影響を与え、さまざまな病気のリスクを上昇させる可能性があります。
呼吸器系や循環器系に病気を持つ人、さらに高齢者や子どもは影響を受けやすいため注意が必要です。現在は、自動車排出ガス規制や、ばい煙発生施設の規制などによって年間の平均PM2.5濃度は減少傾向にあります。
しかし、春先の暖かい時期が訪れるとPM2.5濃度が上昇する傾向にあり、地域によっては黄砂による被害が重なることもあるので注意しなければなりません。PM2.5が体内へ入り込まないようにするために、出先ではマスクを着用するなど対策を取りながら、鼻うがいも行い健康を保つようにするとよいでしょう。
まとめ
本記事では、鼻うがいの手順と5つの注意点、PM2.5の危険性について詳しくご紹介しましたが、参考になりましたか?
PM2.5は非常に小さな粒子のため、肺の奥や気管支にまで入り込み、命に関わる重度な病気を引き起こす可能性があります。
とくに、冬の寒い時期から春先の暖かい時期になるにつれてPM2.5濃度は上昇する傾向にあるため、有害物質を吸い込みやすい期間です。日頃からできる予防を習慣化し、体内にPM2.5が入り込まないように気をつけましょう。
ご紹介した鼻うがいの洗浄器具や洗浄液のもとは、薬局などで購入できるので、すぐに揃えることができます。正しい手順と5つの注意点に守りながら鼻うがいを行うことで、痛みを伴わず鼻の中に入り込んだPM2.5をしっかり除去することができるので、ぜひ生活の中に取り入れてください。
大人だけではなく、子どもの体調管理のためにも鼻うがいを習慣化し、PM2.5による健康被害が出ないように健康な生活を送りましょう。