上咽頭炎の効果的な治し方と自力で症状を和らげる鼻うがいを紹介
鼻の疾患である上咽頭炎は、あまり聞き馴染みのない病名でもあるため、どのようにして発症してしまうのか知っている人はあまり多くありません。
実は、喉からくる風邪だと思っていたら上咽頭炎が原因で鼻や喉、体全体に症状が広がっていることもあり、注意が必要な疾患です。
上咽頭炎を治すために、どのような治療を行えばよいかわからず放っておいたり、あまり効果の期待できない治療を施してしまうと、症状を悪化させる原因となってしまいます。
そんな上咽頭炎に効果的な治療方法が、薬品を使った「EAT」とセルフケアの「鼻うがい」です。EATと鼻うがいは、専門医が上咽頭炎の治療としておすすめしている代表的な治療方法です。
本記事では、上咽頭炎に効果的な病院での治療と、自力で症状を和らげることのできる鼻うがいについてご紹介します。
上咽頭炎について
上咽頭部は・鼻咽腔・鼻咽頭・Bスポットとも呼ばれ、鼻から体の中に入っていく空気が全て流れこむ免疫の最前線です。
上咽頭に炎症が起こることで、鼻や喉だけでなく、体全体にもさまざまな不調が起こり始め、日常生活の基準を低下させる原因に繋がります。
上咽頭炎を長続きさせないために、病院に通い専門医にアドバイスをもらい、効果のある治療を受けることが大切です。
ここでは、上咽頭炎の原因と症状、効果的な治し方である「EAT」ついてご説明します。
上咽頭炎になる原因
喉に何かしらの違和感や不快感を持ちながら、日々過ごしている方は多いのではないでしょうか。
喉の違和感や不快感の根本的な原因は、鼻の奥にある咽頭部分に異常が発生していることが多いです。
上咽頭炎は、普段の生活ではあまり聞き慣れない病名でもあるため、何が原因で鼻に炎症を起こしてしまうのか知られていません。
以下のような、さまざまな体の不調が上咽頭炎を引き起こすきっかけになると考えられます。
- 細菌やウイルスの感染
- 体の冷え(とくに首の冷え)
- 口呼吸
- 肩や首のこり
- 頭痛
- 後鼻漏
- 歯痛
上咽頭炎は、細菌やウイルスの感染からも引き起こされますが、体の不調も大いに関係していると考えられます。
上咽頭と自律神経は密接な関係があり、首や肩のこりが重症化し、神経に影響があると、神経の機能がうまく働かず、鼻付近の熱が冷めることにより免疫が低下し上咽頭炎になると言われています。
鼻や喉の不調が原因であれば上咽頭炎と判断しやすいですが、片頭痛や肩こりなど、鼻や喉とは関係のなさそうな箇所が原因だとすると、あまり効果のない治療を行う可能性もあるので注意が必要です。
上咽頭炎によるさまざまな症状
上咽頭炎になると、鼻や喉などを中心に体全体に症状が出始めます。
上咽頭付近には、神経や血管、リンパ管も多く張り巡らされており、炎症が全身へ広がりやすいと考えられています。このため、以下のような多くの症状を引き起こします。
- 喉の痛み
- 鼻の奥の不快感、乾燥感
- 鼻の奥や口のにおいが気になる
- 粘り気のある鼻水が、鼻と喉に付着する
- 鼻水が喉に流れる(後鼻漏)
- 痰がからむ
- 喉がイガイガして咳払いが多くなる
- 首や肩のコリ
- 頭痛
- 目まい
- 倦怠感
- 体全体に痛み
風邪に似たような症状が多いことから、あまり効果の期待できない治療を施してしまうこともあり、なかなか症状が治らないこともあります。
上咽頭が炎症を起こすことで、免疫機能が低下し、ウイルスや細菌が体内に侵入しやすくなります。世界的に大流行している新型コロナウイルスなどの感染症や、乾燥がひどい時期にはインフルエンザに感染しやすくなるため、細心の注意を払いましょう。
EAT
EATとは、Epipharyngeal Abrasive Therapyを略しており、翻訳すると上咽頭擦過治療という治療方法で、Bスポット治療とも言われています。
このEATは、綿棒に塩化亜鉛という消化剤(薬品)を染み込ませ、鼻や口から目視できない炎症部分をこする治療方法です。
薬を含んだ綿棒で炎症部分を直接こするため、しみるような痛みがあったり、耳の奥に放散痛が出たりする方もいます。治療中の出血が多いほど炎症が進んでおり、痛みの程度も強くなります。
EATを週に1〜2回のペースで数ヶ月ほど治療を続けることで、出血は徐々に減少し、処置に伴う痛みや刺激も軽くなり、上咽頭炎による症状の改善が見られます。
EATは、耳鼻咽喉科の専門医に相談をした上で、上咽頭炎の完治に向けて治療が必要かどうかを判断して進めましょう。
上咽頭炎の予防策である鼻うがい
鼻や、喉の疾患の予防策の代表である鼻うがい。
鼻うがいを行うことで、上咽頭炎などの症状も完治に向けて効果が期待できます。
私生活に取り入れやすく、さまざまな疾患にも効果のあるセルフケアです。現代社会の問題でもある、新型コロナウイルスの感染予防としてもおすすめされています。
そんな鼻うがいも、基本的で正しい洗浄方法を行う必要性があり、誤った洗浄方法をすることで別の疾患や症状を悪化させてしまう原因となります。
ここでは、鼻うがいの正しい洗浄方法と気をつけるポイントについてご説明します。
洗浄器具と洗浄液のもとを揃える
鼻うがいは、専用の洗浄器具と洗浄液のもとを使い、鼻の中から喉に繋がる咽頭部分をきれいに洗い流すことができます。
乾燥している粘膜の水分補給や、喉のうがいでは届かない咽頭の粘膜の渇きにも有効です。
家庭でできる鼻洗浄器具と洗浄液のもとは市販されており、ドラッグストアや量販店で購入するとよいでしょう。
洗浄器具は、容量の大きさやノズルの種類が豊富なため、自分の用途と症状にあった洗浄器具のタイプを選ぶことができます。
洗浄液のもとも一緒に販売されており、刺激の強い素材や添加物が使われて
いないので安心して使用することができ、お手入れも簡単です。
鼻うがいのイメージとして「痛い」「怖い」「苦しそう」といった印象をお持ちの方も多くいらっしゃいますが、洗浄器具と洗浄液を使うことで痛みや苦しさのない気持ちのいい鼻の洗浄を行えます。
鼻うがいに慣れてくるとシャワーやコップを使って、鼻の中を洗う方もいますが、痛みを感じたり、症状を悪化させてしまう可能性があるため洗浄器具と洗浄液を使うことがとても大切です。
洗浄液は、自分でも食塩と真水を使って作ることができますが、保存がきかないので、リーズナブルな粉末タイプを揃えておくと、とても便利です。
生活の中に鼻うがいを取り入れることを検討されている方は、上咽頭炎に効果的な洗浄器具と洗浄液を使用していきましょう。
正しい洗浄方法
鼻うがいのやり方はとても簡単で誰でも行うことができます。子ども用製品もあるため、子どもの風邪の予防策としても洗浄器具を揃えて、鼻うがいを習慣化するのもよいでしょう。
鼻うがいを実際に行うときは、以下のように行います。
- 洗浄器具と洗浄液のもとを準備する
- 前かがみになり、斜め下に顔を向ける
- 「あー」と声を出しながら、片方の鼻から洗浄液を流し込み、反対の鼻から流し出す
- 反対の鼻の穴からも同じように鼻の洗浄を繰り返す
鼻うがいを初めてする方は慣れていないため痛みを少し感じるかもしれませんが、回数を重ねれば徐々に慣れていきます。
1度の鼻うがいの洗浄液の量は、200〜300ccほど必要です。容量の多い洗浄器具を揃えると手間をかけることなく鼻うがいができます。
洗浄液は、真水や水道水は使わず、塩と重曹が使われている洗浄液を揃えスムーズな洗浄を行うことを心がけましょう。
鼻うがいを行うときの気をつけるポイント
誤った鼻うがいを行うことで、症状を悪化させてしまう以外にも別の疾患を発症させてしまう原因になる可能性があります。
鼻うがいの気をつけるポイントを知ることで、さまざまなリスクを低下させ、安心して鼻の洗浄を行えます。
以下のようなポイントに気をつけて、鼻うがいを行いましょう。
中耳炎を引き起こす行為
- 大きく顔を上げる
- 洗浄液や唾を飲み込む
- 鼻うがいを終えた後に、強く鼻をかむ
鼻の粘膜を傷つける行為
- 真水や水道水で鼻うがいをする
- 1日の洗浄回数を過度に増やす(1日に朝と夜の2回程度がベスト)
- 洗浄液を流し込むときの圧が強すぎる
そのほかの注意すべきポイント
- 症状が重症化しているとき、体調がひどいときに鼻うがいを行う
- 鼻や喉に強い痛みがある
先ほど説明した通り、顔を斜め下に向けて、声を出すことは中耳炎になるリスクを低下させる大切なポイントです。
鼻の洗浄は、鼻の中に溜まっている汚れや埃、上咽頭炎による不快感のある鼻水をきれいに洗い流せるため何度でも鼻うがいを行いたくなります。しかし、過度な洗浄は粘膜を傷つける原因につながります。
粘膜を傷つけるリスクを低下させるためにも、1日に2回を目処に鼻うがいを行っていきましょう。おすすめの鼻うがいのタイミングは、夜の就寝前と朝の起床後が効果が期待できます。
まとめ
本記事では、上咽頭炎を引き起こす原因とさまざまな症状、治療として効果的なEATと、自力で症状を和らげる鼻うがいについてご紹介しましたが、参考になりましたでしょうか?
上咽頭炎は、専門医の治療を受けることがとても大切です。症状を長引かせないためにも、通院してEAT治療を取り入れていきましょう。
また、通院だけでなくセルフケアである鼻うがいを生活の一部にすることで、上咽頭炎の完治を早め、新型コロナウイルスやインフルエンザなどの予防としても効果が期待できます。
専門医のアドバイスのもと、上咽頭炎を早く完治できるように、効果のある治療を生活に取り入れていきましょう。